アメリカ合衆国においては、アメリカ合衆国憲法1条8節4項により、倒産は連邦法の管轄とされている。同条項によれば、連邦議会は「合衆国全域における倒産に関する統一法」を制定することが認められている[6]。連邦議会は、倒産に関する制定法として、倒産法(Bankruptcy Code, 合衆国法典第11編)を定めている。連邦法が規定していない点や、明示的に州法に譲っている点については、州法の定めにより連邦法が一部修正されている。
倒産事件は、必ず連邦破産裁判所(連邦地方裁判所に付設される)に申し立てられるが、倒産事件は、特に債権の有効性や自由財産に関しては、州法によることが多い。したがって、多くの倒産事件においては州法が大きな役割を果たしており、州境を超えて倒産法を一般化することはできないことが多い。
連邦倒産法の手続 [編集]
合衆国法典第11編に置かれた倒産法の下では、次の6種類の手続がある。
連邦倒産法第7章
個人及び企業の基本的な清算手続を定めるもの。
連邦倒産法第9章
地方自治体の倒産手続。
連邦倒産法第11章
更生・再建手続。主に債務者が企業の場合に用いられるが、負債・資産額の大きい個人に利用されることもある。
連邦倒産法第12章
家族経営の農家及び漁師のための再生手続。
連邦倒産法第13章
決まった収入源のある個人のための、支払計画を立てる再生手続。
連邦倒産法第15章
国際的な倒産事件の処理について定めるもの。
個人の倒産に際して最もよく用いられるのが、第7章及び第13章である。アメリカの個人による全倒産申立て件数のうち実に65%が、第7章によるものである。会社その他の企業は第7章又は第11章に基づいて申立てをすることが多い。
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第7章では、債務者は、自由財産となるもの以外の財産を破産管財人に引き渡し、破産管財人がそれを換価して、その売上金を無担保債権者に配当する。その代わりに、債務者は債務の一部の免責を得る。ただし、債務者が一定の類型の不適切な行動(財産状況に関する資料を隠すなど)をとった場合には、免責は与えられない。また、一定の債務(配偶者及び子の扶養料、学生ローン、一定の税金など)については、債務者が一般的な免責を得た場合であっても免責されない。経済的に破綻した個人は、多くの場合、自由財産(衣服、生活必需品、中古車など)しか所有しておらず、その場合は破産管財人に財産を引き渡す必要はない。自由財産とすることができる財産の額は、州によって異なる。第7章による救済は、8年間に1回だけしか使うことができない。一般的に、担保権者の担保物件に対する権利は、債務の免責が行われても存続する。例えば、債務者が自動車を引き渡すという合意や債務の「再確認」が行われなくても、債務者の自動車に対する担保物権を有する債権者は、債務者の債務が免責になったとしてもその自動車を引き揚げることができる。
第13章の手続では、債務者はすべての財産の所有権や占有権を失わないが、通常3年間から5年間にわたり、将来の収入の一部を債権者への返済に当てなければならない。返済額や返済計画の期間は、債務者の財産の価値や債務者の収入・支出などの要素によって変わる。担保権者は、無担保債権者よりも多く返済を受けることができる。
第11章の手続では、債務者は財産の所有権と占有権を失わず、債務者占有型 (DIP) 手続とも呼ばれる。占有を継続する債務者が、日々の事業の運営を行う一方、債権者らと債務者は、連邦破産裁判所とともに、交渉を重ね、再建計画を完成させるべく共同作業を行う。一定の条件(債権者間の公正、一定の債権者の優先など)を満たすと、提案された再建計画に対する債権者らの投票を行うことができる。再建計画が承認されると、債務者は経営と、承認された再建計画に従った債務の弁済を続ける。もし一定以上の多数の債権者が承認の投票を行わなかった場合は、裁判所から、計画を承認するための追加的な条件が課されることがある。